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STORY10
カモ博士ってのは、俺のマシンやパソコン全ての発明者。
まぁ、俺とはよく言いあいになるけど、物凄い腕の持ち主に頭の切れる人だ。
普段は、難しい事をぶつぶつ言って白衣に白髪に癖っ毛で頭のてっぺんは、これまた博士の王道ってくらいにぴっかりと光っている。 でも、何かを作っている時の博士の目は怖いくらいに別人だ。
俺がいつものように軽く声をかけられる空気じゃない。
だから、夢中になりすぎて食事も取ってない時も多々あるから、そういう時は無理やり声をかける。ただし!腹の底から絞り出した大声で呼ばないと気付かない。
「物質の性質は種類の違うものを二つ合わせて互いに他方の欠点を補う事によって・…」
「カモ博士!俺さっきからずっと声かけてんだけど!!」
博士は、ようやく俺に気づいた。
これやると喉痛くなるから嫌なんだよな。
今日は五回で済んだからまだましか。
「おお!光太か。今日ワシが発明したやつを見てくれ!」
「それ、どうせどうでもいい博士の遊びだろ?」
博士は眉間に皺を寄せた。
「遊びではないわい!今流行りの脳トレじゃ!」
「博士…もういいから。珈琲淹れるから手休めて。ボケより先に過労で逝っちゃうよ」
俺は、それを言い残しバーナーに火をつけてフラスコに水を入れて温める。 博士の家、兼研究所には、やかんとかそういう生活に必要な物が殆どない。
あるのは、あるけど全部一緒で博士しかわからない。否、博士も分かっているのだろうか? 部屋の片隅に並ぶ白くて四角い箱。
そこのスイッチを押せば食事が出てきたり、洗濯もできるらしい。風呂だけは使った事があるけどあれは思い出したくない。
ぼんやりと、お湯が沸くのを待っている間に俺までフラスコの表面が白くなっているみたいに頭の中がぼーっとしてきた。
「おい!光太!起きんかい!」
俺は、珈琲を淹れると言いながら、眠りこけていた。
「どれくらい寝てた?」
ぼさぼさになった頭をぽりぽり掻いていたら右頬に違和感を感じ、手を運ぶと右顔半分に紙の後がついてて、ぼこぼこになっている。
「ほれ。これやるわい」
「何?」
博士が差し出したのは、俺がよだれを垂らして書類を枕にして眠っている写真と湯気がたって、とってもいい香りがする珈琲だった。 カップを覗くと桜の花びらが一枚浮いていた。
「今日もレースなんじゃからしゃきっとせい!」
「あぁ、わかってるよ…」 昨日のレースでは爆発が起こり、目前でメラメラと炎が舞い上がった。 桜の花びらが散る様のように、命が今日も幾つも風に舞いとられ散ってゆく。