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STORY11
此処は、ストレージの中。
死の逆、生ではなく生きている事と命絶える事の間。俺はそう思う。
マシンに乗り込み光りの速度で戦う。
今日の空は、星が見えなくて霧の様な雲がかかっていてとても憂鬱な気持だった。
ブレイドに移るのは街灯の光りだけ。
スピードを加速させる毎にそれは虚しい想いと負けられない意思とで葛藤が始まる。
レースが終わって部屋に帰る足取りは重い。
勿論レースには勝った。
「デッドレースかぁ…」
今日、俺と戦った奴はコピーのコピーのコピーのその又コピーで…ってわかんねぇ。
ふと、歩くのをやめて空を見上げるとさっきまで空を覆っていた雲は何処かへ行きハイデルを思わせる大きな満月がでていた。
「くそっ」
自然と下唇を噛みしめ奥歯に力が入る。
あいつとレースをするのは一体いつなんだよ!
ふーっと息を吐いて又とぼとぼと歩きだす。
真理島が着いてこなくてよかった。
あいつがいると煩い。
余計な考えがまとわりついてるってのに、もう一つ俺の周りをぐるぐると…。
[ピピピピ…ピピピピ]
携帯が鳴った。ズボンのポケットの中で煩く鳴り響いている。
早く取れ!と言わんばかりに…。
う…真理島。
でも、これ出とかないと何回も掛ってくるよな。
俺は重たい空気を飲み込んで意を決して通話ボタンを押した。
「もしもし…」
「あ!やっと出た!二十五回!」
「はぁ?」
真理島は南国にでもバカンスに来ているのか?と言うような意気揚々とした声とテンションで二十五回!を連呼している
「光太が電話に出るまでのコールの数!」
「あーそーですか。そんな要件なら切りますよーっと」
終話ボタンに指を伸ばしかけて真理島は焦ったのか要件を絞りすぎて「今度!」と叫んだ。
「今度ってなに?」
「あ…えっと…ね」
すーっと深呼吸する音が聞こえた。
「早く話して。俺帰って寝たい」
今度は荒い鼻息が聞こえた。
「えっとね!まだいつのレースって決まったわけじゃないんだけど、ハイデル・ラドクリフが近々レースに出るみたい!」
俺はどーでもいい話だと思って聞いていたから心底驚いて、続いて話している真理島の言う事は遠い処で響いていた。
まだ続く真理島の話を途中で遮り
「わかった。サンキュ」
と短く返して電話を切った。
「俺は負ける事なんかできねぇんだぁあ!」
メラメラと闘志が沸いてきて、俺は家路に急いだ。明日でいいや。と思っていた今日のデータ整理をして、トレーニングをして…等と俺の頭の中はフル活動していた。
いつ寝たのかよく覚えていないけど、朝のまぶしさと、ストレージの世界に来てから、うんざりする程見る夢で目が覚めた。
夢にはレースに敗れたゾンビ達が痛みがひかねぇって出てくる。いい加減嫌気がさす。
命を娯楽にするなんて最低な奴等だって常々思ってきてはいたけど、命を楽観視するなんてくそくらえだ!
大切な人が突然いなくなるって事は、涙がでてもう、戻ってこないもの、触れられないものになるって事だ。
この手で温もりを感じられないって事。
命の欠片を娯楽にする…。
俺が…俺が絶対に終わらせてやる。
昨日まとめたデータを持って俺はカモ博士の元へと足早に出かけた。