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STORY3
ストレージされた初日は正直戸惑っていて、どうしたものかと降ろされた駅からうろうろと彷徨っていた。
街は、こんなだし、感覚が上手く掴めないし、ちょっと緊張していたから。此の店に入った理由も、現実世界と左程井出達が変わらなくて…そう思って入った。
だけど、俺は外見に騙された。ただの喫茶店だと思っていたのに、赤茶色の扉を開けると外装からは想像できない程の広い空間と水族館でしか見られない様な大きな水槽があった。そこには見た事もない大きさの魚が泳いでいた。
長さは俺の体半分以上はあって、色が気持ち悪い、何か…不気味。青い鳥肌がたった。
ゾンビだらけの世界には、やっぱり生き物も似るのか?
はぁーという溜息と驚きとで、立ち尽くす事しか出来なかった。店員が声を掛けている事にも気付かず、壁一面の水槽に釘付けだった。
俺は、適当な席を見つけ、すぐさま鞄からパソコンを取り出し目の前の情報を検索した。
すると人間だけでは飽き足らず、魚、虫、鳥、植物等までもがストレージされ…勿論、仮想空間では対応しきれず異常な大きさ・形になっている事が分かった。
最初は不気味だったけど、現実世界ではありえないことに俺の心は躍った。
一通り目を通して、お腹がすいて店に入った事を思い出し席についた。
店内は薄暗く、テーブルは古く肘をつくと棘で擦りむいてしまいそう。
「こういう所は似なくていいんだけどなぁー」
項垂れながらメニューに目をやった。
そこには、光輝くパスタの写真が沢山あって、迷った結果、本日のお勧め!白身魚のパスタにした。俺はその白身魚のパスタがあまりに美味しくて上機嫌になってフォークを天井に向け、くるくると回しながら「最高!」「これ上手ぇ!」等とガキの様にはしゃいでいた。
そしたらそれを見て鼻で笑った奴がいた。それがハイデルとの初めての出会い。
俺は、ムッとしたがストレージは俺が来る前から行われていたし俺より詳しい奴がいるのも当たり前で…俺は我慢した…のだけれど奴が肘を付きながらテーブルを小突いて呼びかけた。振り向くと、口ぱくで「馬鹿」と言われた。
そいつは、にこりと笑って紅茶を啜って余裕顔。
整った顔立ちに、手が行き届いた綺麗な金髪。瞳は、空…というより闇の輝きを持った…って駄目なとこねぇじゃん!等と俺が机と悶絶していると声をかけられた。
「おい。お前幾つだ?」
「十七歳…」
「ふっガキめが」
「何だと!俺は現実世界では大学生なんだぞ!」
「それにしては此方の事は何にも解っていなそうだったが?」
地を這うような声で顔色を一切変えず返答された。
俺はというと、沸き立ったヤカンの様…間違いではなかったからだ。
くっそーと怒りをどうにか逃がそうと足の上で握りこぶしを作り、わなわなと震えていると…奴が俺の横まで来て「行くぞ」と言ってきた。
「何処に?」
と言うと、
「説明してやろう。着いてこい」
それだけ。
怒りを抑えて、コップに入った水を一気飲みして後を追った。