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STORY5
そんな時、ぶっきらぼうにハイデルが話しかけてきた。
「ぼさっとしてると怪我するぞ」
なんて、ほざきやがる。
さっきの、おっさんは真っ黒の水ん中に入って消えちまうし一体どうなっちまってんだ?!
「いいものを見せてやる」
薄暗くても分かる。奴の口角が憎く上がったのを俺は見逃さなかった。
「この魚はさっきお前が食べた白身魚だ」
現実世界で見る新鮮な魚で良く聞いたのは、ぴちぴちという音。それよりも気持ち悪い音を立てている。ビタン!ビタン!と今にも床が抜けてしまいそうだ。
「てゆか、俺が怪我する!」
四・五匹の魚が水から揚げられたせいで苦しくなって俺の周りで跳ねる。
俺の足場も危うくなってきて飛び越えようとしたら巨大魚から出る滑が俺の脚先を掴み派手に転んだ…。
「痛ってぇええ…何だよ!」
俺は、ハイデルを睨みつけようとした瞬間に胸ぐらを掴まれた。瞳は呆れた色になっていた。 「此方の世界を甘くみるな」 掴んだ手にぐっと力が入るのが解る。
何で、こんな初対面の奴に言われなきゃいけないのかって、胸の中が真っ黒になった。
どろどろしていて、今にも殴りかかってしまいそうになった時に手を放され言葉と一緒に放り出された。
「お前はその程度の奴なのか?少しは楽しみにしていたがオリジナルというものはそんなもんなのか?これではレースも楽しめないな」
その時、俺は何故こんな所に連れて来られたのか分かった。
此処では俺は唯一、肉体を持つ者―――
「もしかして、お前レースに?」
「あぁ。かれこれ百年前からだ」
百年前?俺が来る前すぎて想像がつかない。
「物知らずに期待した僕が馬鹿だった。試す程でもなかったな」
俺は、唇を噛みしめ無言でその場を去った。
階段を降りながらズボンについた大きな鱗を払いのけ、首元の皺を払いのける。何故あの時、言葉が出なかったのか良くわからない。
こっちに来て散々な始まりで俺は目の中に廃油がはいってしまったようだ。
何を考えようと先には進まず、何か負に落ちなくて。さっきの事すら直視出来ない。
でも空を見上げると、とても綺麗に目に映る。
まだ自分の胸の淵に余裕があるのか二重の気持ちを抱きながら、早く歩いてみたり、立ち止まって見たり、ゆっくり歩いて見たり、もう自分の気持ちがよくわからなかった。