Nobel

イラスト6

STORY6

視線は青い空を見ているのに瞳の奥は曇ったまま。何も知らない訳で此処に来たわけじゃない。俺は許せなかったのだ。
奴らのしていることが。そして何も返せなかった自分に。唇が噛みきれる程、他に当たる術もなく持っていきようのない苛立ちと喪失感に俺は階段を降りている事すらあやふやだった。
霧の中に迷いこんだ感じだ。 手を伸ばしても誰も握り返してくれない。
誰も…
「私がいるよ?」
すっと伸ばされた手で俺は目が覚めた。
まだ、昼間だったことにも気付かされる。
目前にいたのは、真里島だ。
「彼の事、私が教えてあげるよ」
まるで、今起こった事を見ていた様に、知っていた様な投げかけに俺は黙って着いて行くことにした。さっきみたいに質問責めにされたら行く気なくしてだろうけど…。
連れられる道々に真里島が言った事で納得がいった事もあったけど、ハイデルがオーナーだったということで心底ショックを受けた。
「どんな奴なんだよあいつは!」
「大丈夫!私に着いてきて!」
目を丸くして微笑む。 こいつを信用していいものか…足元は軽やかで今にもスキップをしそうだ。 俺は、鉛を引き摺っている感覚。 ストレージってレース中心で回ってるのかと思ってた所があって…もう混乱するしかないだろ! 店から少し歩いて大通りに出た。 真里島は、もう少し歩くから。とだけ告げて俺の前を歩く。 周りにはレンガの壁を挟んで店がずらっと続いている。でも営業をしている様子は伺えない。
「此処はみんなレースに出て死んじゃった人達のお店」
「だから営業してないのか」
「そうだよ」
歩道は石畳、道路は広いが車やバイクが通る気配はあまり見られない。それよりも路上駐車が多い。歩道に止められているせいで避けるのが面倒だ。これもゾンビ達のものなんだろうと思うと少し胸に痛みが走った。

「ほら、あそこ!」
やっと着いた。そう思った時には、辺りは、ほんのり暗くなっていた。 真里島が指を差す先には大きな本屋があった。 此処に来ると電気が眩しいくらいに着いていて、そこらじゅう生きた店だらけだった。
「本屋?」
俺は短く返す。
「そう!入ればすぐ解るから!でもあんまり大きな声出さないでね?」
「あ?あぁ」
本屋に入って声を出すな。という言葉に俺は理解出来ず生ぬるい返事をし店に入った。 店の中は黄色い灯りで外にいるより目が安らいだ。
「此処の本棚全部そうだよ!」
言われた所を見上げるとそれは―――

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